ヴェネツィアの街を歩けば
ヴェネツィアは、イタリアの北東部ヴェネト州に位置しています。ヴェネツィア市にはイタリア本土の一部も含まれますが、みなさんがイメージされるヴェネツィアは、ゴンドラが運河を行き交う「水の都」ではないでしょうか。
この島一帯は「ヴェネツィア歴史地区」と呼ばれ、周辺の118の島々とともに「ヴェネツィアとその潟(ラグーン)」として、世界遺産に登録されています1)。
この地域に人が住み始めたのは5世紀頃のことです1)。当時、北イタリアでは異民族の侵攻が相次ぎ、本土の人々はラグーンの浅瀬や沼地へと避難しました。当初は一時的な避難先でしたが、やがて、人々は地中に多数の木の杭を打ち込み、その上に石を積み上げて基礎を造り、年月をかけて街を築いていきました2)。
ヴェネツィアのユニークさは街の基礎だけでなく、街並みにも表れています。 まず思い浮かぶのは運河ですが、代表的な運河は「グラン・カナル(Canal Grande)」と「ジュデッカ運河(Canale della Giudecca)」の二つしかなく、ほとんどの水路は「リオ(rio)」と呼ばれます。400を超える橋がこれらの運河や水路をまたぎ、約3,000本もの小さな通りとともに3)、迷路のようなヴェネツィアの街を形作っています。
通りの呼び方にも、ヴェネツィアならではの特徴があります。イタリアのほかの都市でよく見かける「ヴィア(via)」は、ヴェネツィア歴史地区では「ガリバルディ通り(Via Garibaldi)」の一つだけです。それ以外の通りにはさまざまな呼び名があり、以下はその例です。
- カッレ(calle):両脇に建物が並ぶ細長い通り
- ラモ(ramo):主要な通りから枝分かれした短い小路
- サリザーダ(salizada):石材で舗装された比較的幅の広い通り
- ソットポルテゴ(sottoportego):建物の下を通り抜ける道
- フォンダメンタ(fondamenta):運河・水路沿いの歩道(欄干や低い石造りの防護壁があることも)
- リヴァ(riva):比較的広い水域に面した岸辺の道(船の停泊や荷役にも利用)
- リオ・テラ(rio terà):かつての運河を埋め立ててできた通り
水上都市のヴェネツィアでは、車や自転車の乗り入れは禁止されており、移動は徒歩かボートです。ゴンドラはかつて、裕福な家庭では個人用に使っていた人もいましたが、今は専ら観光用です。観光ではヴァポレット(水上バス)も利用できますが、混んでいることが多いので、街を巡るのは徒歩がおすすめです。ただし、混雑している場所ではスリに注意が必要です。
ヴェネツィアを訪れたら、観光名所だけでなく、あまり知られていない路地裏なども散策してみてください。迷子になっても心配無用。街のあちこちにある「PER S.MARCO」や「PER RIALTO」などと書かれた標識をたどっていけば、中心地のサン・マルコ広場やリアルト橋へたどり着くことができますよ。
【参考文献】
マウリツィオ・ロッテル, 『ビーズの魔法:ムラノと京都をつなぐガラスの橋』, 亥辰舎, 京都, 2025, 67–69
1)Ministero della Cultura, “Venezia e la sua laguna”, Ministero della Cultura, Ufficio UNESCO, Accessed November 7, 2026, https://unesco.cultura.gov.it/projects/venezia/
2)unesco World Heritage Convention, “Venice and its Lagoon”, UNESCO World Heritage Centre, Accessed November 7, 2026, https://whc.unesco.org/en/documents/6436
3)Città di Venezia / Ve.La. S.p.A., “Il territorio di Venezia”, Venezia Unica, Accessed November 7, 2026, https://www.veneziaunica.it/it/cosa-fare-a-venezia/il-territorio-di-venezia