ベネチアンビーズとベネチアンアクセサリーについて
ムラノ島で作らないとベネチアンガラスと呼べません
ベネチア市で作っても駄目です。
これからベネチアンビーズとベネチアンアクセサリーについて、
ベネチアンガラスビーズ職人が皆様にどうしても知っておいてほしい事を書きます。
ベネチアンガラスとベネチアンビーズの言葉の意味は、
「ベネチアで作ったもの」「ベネチア人が作るもの」という意味です。
あるスタイルのことを言うものではありません。
他の方法は一切ありません。
他の地域で作られたものとベネチアン人いがいで作られたものは、
ベネチアンガラスとは絶対に言うことができません。
色々なデパートや卸屋さんや沢山のお店では、
ベネチア以外の地域で作られた物でも、
ベネチアンガラスと認めていますが、本当は違います。
ベネチアについてこのお話ではじまります。
まず読み方。
名前はveneziaです。
日本語ではいろんな書き方があります、ベネチア、ヴェネチア、ベネツィア、ヴェネツィア・・・
ど
の書き方にしても同じことですから、お好きな表記を使って下さい。
私は「ベネチア」に慣れていますので「ベネチア」を使います。
「ヴェネツィア」の表記が一番いいかとは思いますが、どの表記を使ったとしても、大事なことは、
VENEZIAであるということです。
ベネチアとベネチア市は完全に違うものです。
ベネチアは、もともと陸のなかった海の中に作られたベネチアと、イタリアと地続きのベネチアです。
海の中にあるベネチアはCentro Storico(チェントロストリコ・ベネチア歴史地区)と言います。
イタリアと地続きのベネチアはイタリアにある町と変わりありません。
ベネチア市とベネチアCENTRO STORICO(チェントロストリコ)は全く別世界です。
ベネチアンガラスについては、ベネチア歴史地区で作られたもののみを
ベネチアンガラスと言うことができます。
ベネチア歴史地区からイタリアに架けられた橋を渡ったら、
そこはもう「ベネチア」ではなく、そこで作られるガラスはベネチアンガラスではありません。
ベネチア市(メストレ・マルゲーラ・ドロ・ノヴェンタディピアヴェなど
のベネチア市に含まれた小さな村)で
作られたものは一切「ベネチアンガラス」ではありません。
強いて言えば、その所で作られたもの、中国で作られたもの、
インドで作られたものはだいたい同じです。
ベネチア市でたくさんのビーズが作られているのは、材料の運搬経費が安く済むからです。
ベネチアチェントロストリコや離島への運搬はボートがなければできないのでそれだけ経費がかかります。
もちろん、ベネチアンガラスが一番メインで作られているところは
ベネチアから船で10分ほどにある、ムラノ島です。
ムラノの人たちは、ベネチアで作られたものさえもベネチアンガラスと認めていません。
しかし、これはちょっと言い過ぎだと思います。
なぜならベネチアンガラスはベネチアで生まれましたが、
15世紀頃、王(ドジェ)の命令で全てのガラスの工房がムラノ島へ移されたのです。
ビーズを作るのにそんなに大きい釜戸が必要なかったために、
たくさんのビーズ工房がベネチアに残りました。
ですから、ベネチアで作られたビーズをベネチアンビーズと呼ぶことは正しいのです。
ムラノ島・ベネチア歴史地区・ブラノ島・トルチェッロ島・リド島・ジュデッカ島・サッカフィゾラ島、
この地域で生まれた人が作るビーズのみを「ベネチアンビーズ」と呼ぶことができます。
例外はありません。
ベネチアンビーズについても二種類のビーズに別れます。
スタンダードビーズと、アーティストの作るビーズです。
この二つには大きな違いがあります。
スタンダードビーズは1~2ヶ月の練習をすれば誰にでも作れるものです。
もし作ってみたいと思われる方がいらしたら、
私の吉祥寺のガラス学校でのレッスンですぐ作ることができるよになります。
私はイタリア・アメリカ・フランス・ルーマニアなど、世界中の色々な国で教えていて、
どこででも教えることはできますが、センスと技術能力だけは教えることができません。
それはその人が持っているか、持っていないかということだけです。
教えられるものではありません。
スタンダードビーズについては、まねしやすいですのでどこの国でも作ることができます。
このビーズについては、どこで生産されたかが大事なことですので、生産地を確かめてください。
一方、アーティストビーズについては
どこで作られたものなのかはまったく重要ではありません。
なぜなら、作品はアーティストの才能で作った唯一無二のものだからです。
そのビーズが欲しいならば、そのアーティストに頼むしか方法がありません。
「作品」は、人の能力や心から生まれるものです。
製品と作品は全く違うものです。
もちろんそのアーティストがベネチア生まれなら、そのビーズはベネチアンビーズと呼ばれます。
残念ながら昔に比べるとベネチアではスタンダードビーズを作る人が増えました。
大勢の観光客の要望で、スタンダードビーズを作るようになりました。
それで、アーティスト作品がだんだん減ってきました。
この観光客向けベネチアンビーズについてはとても
気をつけなければならないことがあります。
なぜならベネチアでも、中国製やインド製のものをベネチアンガラスとして
売っている店があるからです。
ただの商売品です。
私にとっては、このようなビーズはまったく愛情がないものです。
ビーズはとてもかわいいですが、伝わるものがありません。
ビーズを作っても、花瓶を作っても、そのガラスに対しての愛がないと意味がないです。
ただのお土産屋さんの商品。
アーチストはお客様に、ベネチアの本当の情熱・本当の歴史・本当の作り方を伝えたいのです。
もちろんスタンダードビーズは大事ですし、需要もありますので、私も自分のお店で多数のスタンダードビーズを取り扱っております。
そのスタンダードビーズはすべて、私のガラス職人としての考えを受け継いでくれている私の弟子たちによって作られたものです。
すべて「ベネチアンビーズ」です。
ベネチアンガラスにこだわずガラスがお好きでしたら、そんなに気をつけなくても、
好みのガラスを見つけて、買って、楽しんでいただきたいです。
しかし、本当のベネチアンガラスをお求めの方には、
ベネチア人アーティストに直接頼んでいただきたいです。
私のようなアーティストやさらに素晴らしい才能を
持つベネチアンガラスアーティストがたくさんいます。
お値段は少々高くなりますが、ガラスの質、使う材料と費やす時間はまったく違います。
たとえば私はベネチアで一番いい材料がほしい。
今使っている材料よりもっといいものがあれば絶対に使います。
私は作品は一点物を狙って、作りたいと思っています。
お客様にお渡しするものはそのお客様しか持てないのです。
ベネチアンガラスのアクセサリーについて
ベネチアンアクセサリーについて少しお話します。
ベネチアンビーズはとてもきれいですが、少し重くて値段も高いので、
昔からいろんな材料を入れて使いやすくしていました。
ベネチアンビーズアクセサリーによく使用されるのは、
チェコビーズ・プラスチックビーズ・スワロフスキービーズ、天然石、18金ビーズで、
これらは昔からベネチアンビーズと共に使われています。
アクセサリーの材料が、すべてイタリア製のものではなくても
ベネチアで作られたものは「MADE IN ITALY(イタリア製)」となります。
他の国、たとえば日本・アメリカ・フランスなどで同じように素晴らしいアクセサリーが作られても、
その作品の中にベネチアンガラスが少ししか使われていなければベネチアンガラスとは呼ばれませんし、
もちろんMADE IN ITALYにはなりません。
皆様に気をつけていただきたいのですが、名前だけで買い物しないでください。
デザイナーはいろんな材料を使います。
自分のネックレスのデザインのために必要な材料を生産地にとらわれず使います。
その中にベネチアンビーズがすこしあるからと言って、
ベネチアンビーズのアクセサリーと言うことはできません。
たとえば、一つのネックレスの材料が50%以上ベネチアンビーズでないものは
ベネチアンビーズのアクセサリーではありません。
今、たくさんのデザイナーが90%以上ちがうビーズと
、1~2%のベネチアンビーズを使って、ベネチアンビーズとして売り出しています。
これは絶対にあってはならないことです。
最低50%以上ベネチアンビーズを使っていないといけません。
ベネチアンビーズ以外のビーズを使って、ベネチアンビーズとして売ることは、
私たちベネチアンガラスビーズ職人達にとって、とても許せないことです。
ベネチアには千年の歴史があり、私たちはそこで生まれ、その環境で育ち、ガラスを愛しているので、
ベネチアンガラスの名称を利用して違うものを販売することはやめていただきたいのです。
ベネチアンガラスと偽って販売されているガラスが山ほどあります。
私はムラノ島で生まれた人間として、
ベネチアンガラスという名称が商売の為に悪用されていることが悲しくてしかたありません。
私も自分のデザインのネックレスに、天然石や18金、スワロフスキービーズやチェコビーズを使っていますが、
これは私の作品であるビーズをネックレスとして皆様に使い易く提供したいからです。
私のネックレスの価格は、そのネックレスに使われているベネチアンビーズと私自身で作ったビーズのものです。
その他のビーズや石などのお代は、50CM以下の作品については一切いただいておりません。
私のビーズを選んでくださったお客様への私からのプレゼントです。
ベネチアンビーズを作るにはほとんどムラノ島にあるモレッティ(effetre)と
ベトロフォンド(
Vetrofond ) のガラスの棒を使います。
もし ベネチアンガラスの特別のガラス棒が欲しいならば、小さな工房から作ってもらうしかありません。
ただガラスの種類によってガラスの膨張率が違いますので、ガラスの相性に気をつけなければなりません。
私もムラノ島で特別なガラスの棒が欲しい時に自分で作ります。
この訳で良くムラノへ行きます。
ガラスの種類は沢山ありますが、 ムラノ島で一番使うのはこの次の4種類です
1)透明である、2) 不透明 、3) 乳白ガラス、4) アラバストロ。
ガラスの色は種類によって沢山作ることができます。
この種類のガラスを使用して、金箔、白金箔、銀箔とアッベンテュリナを混ぜると、
全てのデコレーションをつくる事が可能になります。
これはアーティストの想像力によります。
買ったガラス棒をただ使うのではありません。
一番大事なことはガラスの準備をすることです。
各ビーズ、装飾、サイズによって準備をすることが必要です。
このステップが非常に重要で、棒や銅線はビーズの命です。
ベネチアンガラスの種類も多くのタイプがあります。
けれども一般的なガラスからベネチアンガラスを作成することはできません。
まず、「ベネチアンビーズ」を作るには、何年もの経験をして、ガラスの事を愛する、
そしてヴェネツィアの環境とベネチアの文化も愛する事が必要です。
自分の魂をビーズの中に沁み込まなせなければなりません。